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大阪では雨がじっとりと降っておりますが、本日も昨日に引き続き“夏に聴きたいこの一曲!ナツカヨ2009”をお送りしたいと思います。ヒット曲中心のセレクトですんで聴きやすい&ゲツしやすいのがイイネ!ポップ・ソングは消費してなんぼだと思ってます。

goro_ciscodream
【7"】野口五郎/シスコ・ドリーム [B面] (POLYDOR)
野口五郎って新御三家的にも永遠の三番手だし、歌もいなたくていまいちなぁ…なんて思っている方いません?そんな向きには是非この79年発売シングル「女になって出直せよ」のB面「シスコ・ドリーム」(両面とも作詞:阿久悠×作曲:筒美京平)をご一聴ください。驚愕必至の腰にくるファンキー・ディスコなんですから!ラリー・カールトン(g)、デヴィッド・スピノザ(g)、デヴィッド・サンボーン(as)ら超一流ミュージシャンを迎えたL.A.録音なだけあって演奏は完璧。しかも五郎のヴォーカルが負けないくらい最高なんです。ファルセットと低音を巧みに使い分けて大人の色香も芳醇。しかもどこから聴いても野口五郎!ってところがスゴイの。リズム感が少し不安な印象があったんですが、まったく問題なしの素晴らしい仕事してます。A面「女になって出直せよ」もフロア映えするサンバ・ディスコで凄くかっこいいんですが、あえて衝撃のB面を推したい。
五郎に最敬礼度★★★

goro_kietahurricane
【7"】野口五郎/消えたハリケーン [B面] (POLYDOR)
もいっちょ五郎推し。78年発売のシングル「グッド・ラック」のまたもB面「消えたハリケーン」も非常にオススメです。こちらは両面ともに作詞:山川啓介×作曲:筒美京平による作品で、AOR色を前面に押し出したサウンド。A面「グッド・ラック」は郷ひろみにおける「ハリウッド・スキャンダル」のようなメロウ・ナンバーの代表曲だと思ってますが、B面も本当に甲乙つけがたい名曲!キュキューンと切ない清涼感がたまらないAORギターとエレピの絡みから始まるミディアム・ナンバーです。軽やかなコンガの音色と流麗なストリングスとそして女声コーラスの調和が見事に保たれていて、五郎の伸びやかなヴォーカルを鮮やかに彩っています。この辺りからセールス的には下降気味になっていきますが、内容的には自身の音楽的指向を前回にした高い完成度を誇るものが少なくないですね。
Late70's野口メ郎度★★★



hirayama_beautifulyokohama
【7"】平山三紀/ビューティフル・ヨコハマ (COLUMBIA)
筒美京平の秘蔵っ子〜平山三紀お姐さんの70年発売のデビューシングル「ビューティフル・ヨコハマ」。彼女の夏歌謡といえば「真夏の出来事」っつービッグ・アンセムがあるのですがコレを選んでしまいました。「真夏…」のようなモータウン歌謡は勿論ソフトロックもロック歌謡もブルージィ歌謡もニューウェーヴもジャズも…なんだって歌いこなせる最高級のシンガーですが、この曲がどうしようもなく好きなんです。歌謡曲度の高いブルース調なのにバックの太いファンクネス!三紀さんの低く鼻にかかったような独特の歌声と少しやさぐれた感じにピッタリですわ。「ブルーライトヨコハマ」のヒットにあてこんだ横浜ソング、同じ橋本淳×筒美京平コンビの作ながら洗練性もダイナミズムも倍増してます。“ビューティフルなお話ねェ”の吐き捨て感、最高!
ナチュラルボーンシンガー度★★★

mikikatuhiko_absli_beach
【7"】美樹克彦/恋のアブズリ・ビーチ [B面] (CROWN)
ロック派の青春歌謡歌手・美樹克彦の67年発売シングル「想い出の恋人」のB面「恋のアブズリ・ビーチ」は爆裂テンションのラテン・ロック歌謡の名曲です。“アブズリ・ビーチ・ヤンヤヤン!”という生真面目な男女のコーラスの掛け合いから、突如ド迫力のブラスを従えた狂熱のラテン・ロック・サウンドが疾走しだす!青春歌謡歌手には珍しい力強くアウトローっぽい美樹の歌声が全力で恋を熱望しているというのがちょっと面白いですが、この60年代な世界観キライじゃないです。アブズリ・ビーチってどこの国だよ!?とか思っていたら葉山の鐙摺(あぶずり)のことか!ズコー。
恋に飢えるラテン野郎度★★★



minami_wasureraretanatsu
【LP】南佳孝/忘れられた夏 (CBS SONY)
南佳孝の通算2作目、メジャーデビュー作となる76年発売の「忘れられた夏」。毎年夏になると佳孝さんを聴く生活を送っておりますが、このアルバムが結局一番好きかも知れません。導入から心地よいグルーヴで世界に引き込まれる「これで準備OK」、佐藤博のエレピが渋いジャズ・ブルース「ブルーズでも歌って」、サーカスの幻のデビュー曲としても知られるトロピカルなサンバ「月夜の晩には」、ウィスパーな歌唱のゆったりとしたラヴァーズ歌謡「椰子の木の下で」…とにかく美味な楽曲が詰まってます!鈴木茂・佐藤博・稲葉国光・浜口茂外也らバックの面子もグレイト。夏の間1枚しか聴いちゃだめって言われたら、私ならコレ一択ですね。
忘れられ“ない”夏度★★★



rajie_blackmoon
【7"】ラジ/ブラック・ムーン (CBS SONY)
南佳孝のグッジョブをもうひとつ。フォーク・グループROW〜ポニーテールとして活動、ムーンライダーズや大滝詠一らシティポップ名盤に多くコーラス参加している相馬淳子ことラジの81年のシングル「ブラック・ムーン」。南佳孝の作曲で彼らしいボサノヴァ・タッチのライトなAORとなっております。艶のあるヴォーカルとメロウなグルーヴがとても心地よい大人のナンバー。厭味のないストリングス・アレンジは当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった井上鑑のさすがの手腕といったところでしょうか。すんごく主張するって感じでもないのに、鈴木茂のギター・ソロはやはりシビれますなぁ…。この盤の裏の要と言えましょう。
月も眠るボサノヴァ・ナイト度★★★

kayama_blacksand
【7"】加山雄三とザ・ランチャーズ/ブラック・サンド・ビーチ (TOSHIBA)
東宝映画「エレキの若大将」挿入曲として発売された加山雄三の65年発売シングル「ブラック・サンド・ビーチ」は両面インスト・ナンバーでギタリスト加山雄三の深淵たる魅力を堪能できる一枚です。映画中のエレキ合戦のシーンで使用されたというだけあって、バリバリにファズの効いたタイトなエレキ・インスト。クールな演奏とガレージィなボトムはストイックな男らしささえ感じさせます。ベンチャーズ“クルーエル・シー”を意識したコード進行のB面「ヴァイオレット・スカイ」もミドル・テンポが気持ちいい佳曲。ベンチャーズ旋風真っ只中のエレキ・インスト界において日本人でここまで鮮烈な存在感を現すとは。さすがだぜ若大将!
マスター・オブ・モズライ度★★★



asaoka_natsuhakkei
【7"】麻丘めぐみ/夏八景 (VICTOR)
去年LPを紹介したんですが7吋が入荷したのでもう一度。麻丘めぐみの16枚目となる76年のシングル「夏八景」。およそ2年ぶりとなる筒美京平作品ですが、氏が担当した初期の清純派ポップスとは随分印象の違うまさかのディスコ!京平ディスコ・サウンドはもともと粘度の強さが特徴ですが、それを更にこねくり回したような粘っこさが素晴らしい一曲です。岩崎宏美や浅野ゆう子のようなスマートさに欠けるのは彼女の声・歌い回しに見られる日本の夏ばりの高温多湿感に他ならない。これこそが純国産ディスコというものではないか?ヘヴィなグルーヴにも負けないめぐみのディスコ魂は実は誰より熱かったのかもしれない。
日本の夏・京平ディスコの夏度★★★
※ぎこちないダンスに注目!



tonokin_amanojaku
【7"】殿さまキングス/AMANOJAKU.(c/w 港町まっさかさま) (VICTOR)
日本が誇るコミック・バンド〜殿さまキングスの87年発売のシングル「AMANOJAKU.」とカップリングの「港町まっさかさま」は、殿キンの新解釈オールディーズ歌謡の名曲である。男女の別れ際の下世話な恋の攻防を歌った「あまのじゃく」はライトなサキソフォンのブロウとドゥーワップ・コーラスが印象的なロックンロール歌謡。女心を歌えるおじさん・宮路オサムの歌も神懸ってます。うって変わって♪酔いつぶれたあの娘見つけ往復ビンタ まるで船の荷物みたく担ぎ出すのさ♪なんてどこのイケメンかと思うような男気を歌う「港町まっさかさま」はサーフなギター・ソロやハーモニー・コーラスが光る隠れた傑作。こういう遊び心のある大人になりたい。
革ジャン越しに背中へチュー度★★★


matsuzaki_sailinglove
【7"】松崎しげる/セーリング・ラブ (VICTOR)
松崎しげるの79年発売シングルで作詞:荒木とよひさ×作曲:馬飼野康二による、高揚感が気持ちいいサンバ歌謡の名曲「セーリング・ラブ」。始めから終わりまで乱舞するパーカッションとそれに呼応するように激しいタッチで責めるピアノのせめぎ合い。編曲のクレジットには前田憲男・斉藤ノブ・植田芳暁・小笠原寛の4人の名前が記載されていて、それぞれが手腕を発揮した巧妙なアレンジになっていますね。松崎のドラマティックな歌唱もくどすぎず、より気分を高めてくれます。真夜中のフロアはしげるの独壇場だな、きっと。
フロアで妖しく光る白い歯度★★★

komurohitoshi_aiyokonnitiha
【7"】小室等/愛よこんにちは (FORLIFE)
元・六文銭のフォーク歌手〜小室等にも意外な夏歌謡がありました!75年のシングルからほんわりと柔らかいフォーキー・レゲエ歌謡「愛よこんにちは」もこの夏のイチオシでございます。朴訥とした歌声や日本的な優しく心に残るメロディーはフォークの時のそれと全然変わらないのに、何故かレゲエの裏打ちリズムと違和感なく調和しちゃってる。しかもなんだかハッピーというかスウィートというかぽわんとした暖かさがあってすごく新鮮!なんだコレ?マジカルな曲だなー。涼しげな大貫妙子嬢のコーラスと、編曲も担当している矢野誠のハモンドが気持ちよさを倍増させてくれます。
スウィート・フォーク・レゲエ度★★★

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【7"】青木美冴/うれしい体験 (CBS SONY)
70年代後半に短く咲いたパンチ歌謡の徒花〜青木美冴の2ndシングル「うれしい体験」は骨太ロックンロール歌謡。フィンガー5「学園天国」や「恋のダイヤル6700」などでR&R歌謡の大家とも言うべき井上忠夫が作曲を手がけてます。青木のヴォーカルは弘田三枝子を髣髴とさせるソウルフル・ヴォイスで声量も迫力も満点!何よりビブラートの効いたアルトがロックンロールの不良性にピッタリなのです。この声で“大人の気分で抱かれてみたい”(作詞:山口洋子)なんて歌われちゃあねー、夏の開放感は皆様ほどほどに。炸裂するドライヴィン・ギター、オールドロックンロールな男声ワウワウ・コーラス、間奏でブロウするサックスは井上先生自ら吹いてらっしゃるんだろうか?…とにかくすべてがカッコイイ!これぞ70年代ロックンロール歌謡の最高傑作と言っていいでしょう。
天性のロックンロール・クィーン度★★★

eikanwakiminikagayaku
【7"】全国高等学校野球選手権大会の歌〜栄冠は君に輝く (朝日新聞社/朝日ソノラマ)
最後はちょっと番外編。♪雲は湧き〜光あふれて〜天高く〜純白の玉今日ぞ飛ぶ〜♪夏の風物詩〜高校野球の開・閉会式で歌われる古関裕而作曲のあの名曲「栄冠は君に輝く」ですよ!これは夏の感じがめちゃめちゃ出ますねー。朝日ソノラマからおそらく80年代に発売されたシングル盤。全日本吹奏楽連盟関西支部(大阪府立淀川工業高校吹奏楽部)、全日本合唱連盟関西支部(関西学院高等部グリークラブ他)にによるバージョンです。式典で聴けるファンファーレや山田耕筰作曲の大会行進曲を同時収録。
白球に賭ける青春度★★★


さぁ2009年度のナツカヨはいかがだったでしょうか?
皆さんの夏を彩る音盤が一曲でも見つかれば嬉しいです。
また機会があれば来年お会いしたい。



■2008年のナツカヨはこちら。前編後編
んでもって2009年のナツカヨ前編はこちら。2009前編
お暇なら見てよね。