残念ながらの雨模様。しとしとと降ってはいますが春の雨って感じです。

さて雨と言えば私の場合真っ先に思い浮かぶのがナラ・レオン/美しきボサノヴァのミューズのジャケット。目尻の下がった大きな瞳。すらっと通った鼻筋、ぼたっと厚ぼったい唇。とびきりの美人じゃないけれど一度見たら忘れられないファニーフェイス。美しきボサノヴァのミューズ、ナラ・レオン嬢はそんな可愛いお嬢さん。

あの作品は71年のものですが当時彼女はパリに亡命中で、遠征の異国で録音されたものでした。元々ナラはボサノヴァの歌姫というよりは伝統音楽〜トロピカリアの流れを汲んだ素養のアーティストで、洗練された新しいリズムのボサノヴァを批判していたはずなんですが。「美しき・・・」の中で演じられているボサノヴァは一般的認知に及ぶ所のボサノヴァとは若干異にする印象があったりします。ボサノヴァの持つ海風や降り注ぐ太陽を思わせる美しく爽やかなメロディというイメージとは違う、ザラリとした感触で哀しみや憂いを覘かせる歌声にその秘密があるのかも知れない。

ボサノヴァの持つ洗練された印象というのは、同時に大衆的であるともとれると思うわけです。その大衆性=歌謡曲性の強い音楽をボサノヴァへ一定の距離を置いているナラが歌う事で、また新しいオリジナリティを孕んで私等の耳に届くのかなぁと。だからナラの歌うボサノヴァは不思議な魅力を感じさせるのかと。ボサノヴァと冠されているというのにあの雨のジャケット、雰囲気としてはピッタリかもしれないと。

nara語ってはみたんですが「美しきボサノヴァのミューズ」は今ウチにはないんですけどね。代わりに同作からの楽曲が多数収録されているベスト盤を提案しましょうか。雨の日に聴くのが染みます。いやぁ春の雨につられて喋り過ぎた、いかんいかん。

THE BEST OF NARA LEAO〜DESAFINADO (PHILLIPS) 未開封 1320円