やはり雨もそぼついてまいりました。降出す前に入ってきてくれた嬉しい音盤、今日の新入荷です。
「ミスター・ジョニー・キャッシュ」!…日本の。です。

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【LP】斉藤任弘/ジョニー・キャッシュを歌う! (TOSHIBA)
斉藤任弘(たかひろ、と読みます)さん、皆様ご存知でしょうか。ギター好きにはグレコやフェンダー・ジャパンの技術者として認知されているかもしれませんが、日本人で初めてナッシュヴィルのグランド・オール・オープリーの舞台に立った我が国が誇る伝説的カントリー歌手なのです。寺本圭一とカントリー・ジェントルメン、原田実とワゴン・エース、ロバート&ジェリー対中とスモールレンジャースらの系譜に属する正調派カントリー男による70年発売の初リーダー・アルバムがこの「斉藤任弘、ジョニー・キャッシュを歌う!」です。
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「フォルサム・プリズン・ブルース」、「コケイン・ブルース」、「ジャクソン」、「クライ・クライ・クライ」、「スーという名の少年」など全12曲を歌い上げてます。元々「Hey Porter」「Get Rhythm」に魅せられ独自にジョニー・キャッシュの研究をしていたというだけあってそのサウンドはジョニー・キャッシュの世界そのもの。かといって単なる技術や表現のコピーに留まらず、キャッシュの精神性というか、あの強力な“男”っぽさと孤独感がしっかり出ているんだなぁ。もう絶対にわか仕込みの仕事じゃないでしょ、という根性焼きにも似た粘着質な鍛錬がレコ溝からギラギラしてきてます。プロデュースにはこのレコードに先んじて「ロイ・エイカフに捧ぐ」という作品を発表したロバート対中と杉浦光、和田誠司。そして演奏に瀬谷福太郎とカントリー・レベル、ドブロにジェリー対中という激渋ないぶし銀メンツ。非常に地味なアルバムではあるけれど、これがカントリーの神様へのウッドストック・エイジからの、しかも日本からの返答。なのかも。
盤は軽スレも概ね良好、裏面にシワと小ヤブレありますが帯も付いてます。比較的珍しい盤と思われ。3000円